麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。
2025/04/25
膵炎はあまり聞き馴染みのない病気かもしれませんが、文字通り、膵臓という臓器に炎症が起こる病気です。場合によっては突然発症し緊急性が高い状態になってしまっていることもあり、注意が必要です。
膵炎とはどんな病気なのかを知っておくことで、どんな症状が出ていたら動物病院へ行った方が良いのかなどの判断がしやすくなるでしょう。
また、膵炎にならないために自宅でできる予防法についても解説します。
【 目 次 】
膵臓は胃や十二指腸などに囲まれたところにある臓器で、主に2つの役割があります。
1つ目は血糖値の調節です。血糖値を下げるインスリンというホルモンや、逆に血糖値を上げるグルカゴンというホルモンを作り、血液中に分泌します。
2つ目は消化液の分泌です。膵液という、消化を助ける酵素を含んだ消化液を十二指腸へ分泌します。そうすることで十二指腸でのタンパク質や糖質・脂肪を分解する手助けをしています。
膵炎が関係しているのは上記の役割のうちの2つ目、消化液の分泌です。
通常、膵臓は消化液を十二指腸に分泌していますが、何らかの原因で酵素が膵臓内で活性化されると、膵臓自体や周辺の臓器を消化してしまい、炎症が起こり痛みを生じます。これが膵炎です。
また、膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。
これは進行の仕方によって分けられますが、緊急性が高いのは急性膵炎です。
急性膵炎は突然発症し急性に進んでいくため、速やかな治療が必要なケースが多いです。
一方で慢性膵炎は、炎症がゆっくりと進行し、症状が軽いため気づかれにくい場合が多いです。しかし、放っておくと慢性的なダメージを与えたり、突然炎症が激しくなったりする可能性もあります。
膵炎になると見られる症状としては以下が挙げられます。
膵炎で起こる腹痛の特徴として、犬が伏せてお尻を上げる祈りのポーズが見られることもあります。
急性膵炎の場合は症状が激しく出てくることが多く、慢性膵炎の場合には軽度〜中度の症状が長期間続く傾向があります。
動物病院では、上記の症状をもとに一般的な身体検査に加えて、血液検査や超音波検査をしていくことが多いです。他疾患を除外していきながら総合的に診断していきます。
膵炎に対しての特効薬はなく、対症療法を行なっていくことになります。
点滴治療はもちろん、制吐剤や鎮痛剤、抗炎症剤などを使用します。以前は絶食治療が行われていましたが、近年では低脂肪食を与えた方が予後の状態が良いとされているため、早期に膵臓への負担の少ない食事を始めることがすすめられています。
膵臓の自己消化が起こってしまう原因は明らかにはなっていませんが、リスクとなる因子としては以下が挙げられます。
遺伝的に脂質代謝異常のある犬種は膵炎のリスクが高いとされています。ミニチュア・シュナウザーなどのテリア種やコッカー・スパニエルなどは注意が必要です。
また、盗み食いをしたり、いつもと違う食事やおやつをあげたりして発症することもあります。
膵炎は上記のように肥満や高脂肪の食事が原因となることも多いです。日々の食事から気をつけることで、リスクを減らしておきましょう。
膵臓への負担をかけないよう、高脂肪食は避けましょう。人間の食べ物をあげることは避け、脂肪分の多いおやつも控えることが重要です。
特に、遺伝的にリスクのある犬種は低脂肪食などをおすすめします。
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盗み食いを防止しておくことも大切です。人の食事中に盗み食いをしたり、ゴミを漁ったりする癖がある犬は、脂質の多い食事を食べ過ぎてしまうリスクがあります。 また、串など尖ったものを誤食したりすることで刺激となり膵炎を発症することもあります。
肥満は膵炎だけでなく、他疾患にも罹るリスクがあります。
犬の適正体重を知り、健康でいられるよう心がけましょう。
適正体重の維持には食事が大切なポイントとなります。
食事管理に加え適度な運動をさせることもできるでしょう。
慢性膵炎は進行がゆっくりで症状が出にくいことがあるため、定期的な健康診断で膵臓の状態をチェックすることが大切です。
犬の時間は人間の約4倍のスピードで進むと言われているため、1年に1回の健康診断だとしても、人間に換算すると4年に1回ほどのペースになります。
動物病院の先生と相談しながら定期的に健康診断を受けておきましょう。
膵炎は、膵臓の炎症によってさまざまな症状が現れる病気です。特に急性膵炎は命に関わることがあるため、早急な治療が必要となります。
また、一度急性膵炎から回復したとしても再発したり、慢性膵炎に移行したりすることもあります。低脂肪食など日々の食事管理や適正体重の維持が、膵炎の予防につながることも覚えておきましょう。
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