近年人気のシャインマスカットや巨峰など、彩り豊かで香りも良いぶどう。
ワインやジュース、レーズンなどの加工品も豊富です。特にみずみずしい生のぶどうは、ついつい犬におすそ分けしたくなりますよね。しかし、犬にとってぶどうは中毒症状を引き起こす危険な食べ物です。
本記事では、犬がぶどうを食べてしまった時に起こり得る中毒症状や、対処方法についてみていきます。
この記事で伝えたいこと
犬にぶどうを与えるのは絶対ダメ
犬が誤ってぶどうを食べないように注意する
もし犬がぶどうを食べてしまったらすぐに動物病院に連絡する
ぶどうによって中毒症状が起こるメカニズム
ぶどうが犬にとって有害であるということは、実は近年になってわかってきたことです。
2001年アメリカでの症例報告を皮切りに症例報告が世界各地から相次ぎ、日本においても2010年にマルチーズがぶどうを食べた後に急性腎不全を発症し、4日後に亡くなってしまったという悲しい事例が報告されています。
しかしながら、現時点でぶどうのどの成分が犬の体に悪い影響があるのかはわかっていません。そのため、皮・種・ジュースやレーズンなどの加工品含め、犬が誤って口にしてしまわないよう、十分注意しましょう。
犬がぶどうを食べてしまった時に起こり得る中毒症状
ぶどうを食べてしまった時に起こる中毒は、これまでの症例報告から「急性腎不全」の症状と考えられています。
急性腎不全とは、数時間〜数日の間に急激に腎臓の機能（血液のろ過、血圧の調節、pHの維持、尿中の老廃物の排泄）が低下していく状態です。この急性腎不全が疑われる症状として、初期では以下のようなものがあります。
この後、急激に状態が悪化すると腎臓に痛みが生じ背中を丸めてじっとしていることもあります。また腎臓の機能が低下することで、尿中に排出されるべき老廃物が体内に蓄積する尿毒症という状態に陥ります。
尿毒症になると、毒素が体のいろいろな器官に影響を与えるようになります。痙攣したり呼吸ができなくなる、アンモニアのような口臭などの症状がみられ、おしっこの量が少なくなったり出なくなることもあります。
急性腎不全は、わずか1日ほどで急速に腎不全が進行して腎臓の機能が低下する、命に関わる危険な病気です。
急性腎不全は、早期に発見・治療すれば治癒する可能性がありますが、発見が遅れ、治療開始が遅くなれば命を落とすことになりかねません。前述したような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
どのくらいの量を食べると危険なのか？致死量は？
どのくらいの量のぶどうを食べると危険なのかについては、犬の大きさによると考えられます。しかし、食べてしまった量が少なく、見る限り体調に影響がないからといっても、数日たって症状が発生したり、何も症状があらわれなくても体の中で腎臓に不要な負担をかけている可能性は否定できません。
そもそも、ぶどうに含まれる何の物質が中毒を引き起こすのかが解明されていないため、具体的にどのくらいの量のぶどうを食べると危険なのかは過去の事例から推測するしかありません。
いくつかの文献などから、ぶどうの中毒量は犬の体重1kgあたり19.6〜32gと推測されます。そのことからぶどうの大きさにもよりますが、１粒でも十分に危険性があります。また、レーズンは水分が少ないため、生のぶどうよりも少ない量で中毒になると考えられます。
もちろん、実際に中毒になるかどうかは個体差がありますが、いつまでも元気でいてほしいと願うのであれば、どんな犬であってもぶどうを1粒でも食べさせないようにするのが賢明です。
人間がぶどうを食べる場合は、犬が誤って口にしないように、細心の注意を払うようにしましょう。家族やその場にいる人にも伝える必要があります。また、拾い食いの癖がある犬は散歩中なども充分に気を付けましょう。
もし犬がぶどうを食べてしまったら
万が一、犬がぶどうやレーズンなどを食べてしまったらどうしたらいいのでしょうか。
その場合は食べた量にかかわらず、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をしてください。その際、下記の情報もなるべく具体的に伝えるようにしましょう。
- いつ食べたのか
- 何を食べたのか（生のぶどうか、レーズンなどの加工食品か）
- どのくらいの量を食べたのか
- 今、犬の体調はどうか
病院に行く際、もし食べたぶどうと同じものが残っていれば一緒に持っていくのがおすすめです。
動物病院ではこれらの情報や症状をもとに、血液検査を行ったり、場合によっては吐かせたり胃の洗浄をしたり、吸着剤として活性炭の投与や点滴治療などが行われることが考えられます。
自己判断で応急処置をすることは危険ですので絶対にやめましょう。
まとめ：犬にぶどうは絶対NG
犬にとって、ぶどうやぶどうの加工品は急性腎不全を発症させかねない、とても危険な果物です。
飼い主としてしっかり注意をし、絶対に誤って犬が口にしないようにしましょう。
万が一、犬がぶどうを食べてしまったら食べた量にかかわらず、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
その他の果物については「犬に与えても大丈夫な果物とダメな果物は？与える際の注意点と合わせて解説」に詳しくまとめていますので合わせて参考にしてみてください。
