【獣医師監修】犬の椎間板ヘルニアとは?症状や原因、予防法について解説

2025/05/22

【獣医師監修】犬の椎間板ヘルニアとは?症状や原因、予防法について解説

人でもよく知られている「椎間板ヘルニア」ですが、犬を飼ったことがある人、特にダックスフンドやコーギーなど、いわゆる胴長短足で椎間板ヘルニアにかかりやすい犬種を飼ったことのある人には身近な病気かもしれません。

聞いたことはある、なんとなくは知っているという方も、何が発症の原因なのかを知ることで犬が椎間板ヘルニアになるリスクを少しでも下げることに繋がるかもしれません。

椎間板とは?

環境の変化

椎間板とは?

ではそもそも椎間板とはどのようなものなのでしょうか。
背骨(脊椎)は、椎骨という小さな骨が並んでいて、その中を神経が通っています。その椎骨同士の間に、背中を曲げたときのクッションとして働くのが椎間板です。

椎間板は内側に、柔らかく大量の水分を含むゼリー状の髄核という組織があり、その外側を繊維輪という伸長性のある組織が囲んでいます。

椎間板ヘルニアとは?

椎間板ヘルニアとは?

ヘルニアとは臓器や組織が本来の位置から飛び出してしまうことを指しますが、椎間板がなんらかの原因で飛び出してしまうことで、神経が圧迫されてしまい、痛みや麻痺が出てくるのが椎間板ヘルニアです。

人だと腰痛のイメージが強いかもしれませんが、犬では胸と腹部の間(胸腰部)や、首(頸部)で起こることが多いです。

また、椎間板ヘルニアはⅠ型とⅡ型に分類できます。
これは椎間板が飛び出してしまう部分によって違います。

ハンセンⅠ型 椎間板ヘルニア

椎間板の内側の髄核と呼ばれる部分が飛び出してしまいます。軟骨異栄養犬種に多く認められます。ミニチュア・ダックスフンドやフレンチ・ブルドッグ、シー・ズーなどに多くみられ、若い犬で突然発症することが多いです。

ハンセンⅡ型 椎間板ヘルニア

繊維輪が神経を圧迫することにより発症します。全ての犬種でみられ、特に高齢犬で多く認められ、慢性的に進んでいきます

椎間板ヘルニアの症状は?

椎間板ヘルニアの症状は?

椎間板ヘルニアの症状は、進行速度や発症部位などによって様々です。

頸部での椎間板ヘルニアは重症度や検査結果によってグレード1〜3で分類されますが、今回は胸腰部のグレード分類を簡単に紹介します。
胸腰部でのヘルニアは後ろ足だけに症状が出ますが、首でのヘルニアは前足にも症状が出ます。)

Grade 1

神経への圧迫が軽度で、痛みが生じている状態です。背中を丸めたり、階段の昇降や運動をしたがらないなどの症状がみられます。

Grade 2

後ろ足の麻痺や運動失調がみられます。歩くことはできますが、足の力が弱く、ふらついたり、足先を引きずって歩くため爪が削れていることがあります。

Grade 3

後ろ足に麻痺がみられます。後ろ足で歩くことはできず、前足だけで進みます。

Grade 4、5

後ろ足が完全に麻痺します。足だけでなく膀胱や肛門に症状が出ることもあり、排泄が今まで通りにできなくなることもあります。Grade 4なのか5なのかは深部痛覚(強い力で後ろ足をつまんだ時に痛がるか)の有無によって分類されます。

上記のグレード分類をもとに適切な治療が選択されますが、以下のような症状がみられたらまずは動物病院で診てもらうようにしましょう。

  • 足を引きずる、ふらつく
  • 抱っこした時にキャンと鳴く
  • 動きたがらない、歩けない
  • 首を動かしたがらない
  • 首や腰を触ると怒る
  • 足の甲の方の爪が削れている

椎間板ヘルニアの治療法は?

椎間板ヘルニアの治療法は?

症状によって選ばれる治療法は様々です。

症状が軽度と診断された場合には、まず安静にすることが勧められます。また、鎮痛剤やステロイド薬が使用されることが多いでしょう。
ただしこれらは直接的な機能改善ではなく、対症療法です。

歩くことができないほどの重度の椎間板ヘルニアになると、外科手術も検討されますが、外科手術を実施する前には全身麻酔でのCT検査やMRI検査が必要で、手術後はリハビリを行います

椎間板ヘルニアの原因は?

椎間板ヘルニアの原因は?

ヘルニアが起こる原因に関しては不明な点も多いですが、リスクとなる因子としては以下が挙げられます。

  • 遺伝 (ダックスフンド、コーギーなど)
  • 肥満
  • 加齢 (椎間板の劣化)
  • 激しい運動 (ジャンプ、頻繁な階段の上り下り)
  • 無理な姿勢 (縦抱っこや後ろ脚で立つ姿勢)

椎間板ヘルニアは予防できるの?

椎間板ヘルニアは上記のように肥満や日々の姿勢など、日常的な要因がリスクとなることも多いです。犬種的に椎間板ヘルニアになる可能性が高い場合は特に、日常的に気をつけて、リスクを減らしておきましょう。

食事管理

椎間板ヘルニアは予防できるの?

肥満であることもリスクになります。
運動だけで痩せることはなかなか難しく、太っている場合は関節にも負担がかかりやすいため、食事管理で肥満を予防しましょう。

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適度な運動

適度な運動

激しい運動や、高い段差の上り下り(ベッドやソファへの飛び乗り、飛び降りなど)はできるだけ避けた方が良いでしょう
無理せず歩いて帰ってこられる適度な散歩時間や距離を見つけてあげましょう。

また、フローリングの床は滑りやすく、腰や足の関節にも負担となるので、マットを敷くことをおすすめします。

身体に負担になることを避ける

日常的に気をつけられることとしては、散歩の時には首輪ではなくハーネスを使用したり、抱っこするときに腰に負担がかからないように抱き上げたりするなど、なるべく身体に負担がかからないようにすることが挙げられます。

また、おねだりの時や興奮した時に後ろ足だけで立ったり、ジャンプしたりすることも可能であれば避けましょう

まとめ

椎間板ヘルニアは、神経の圧迫によって痛みが現れる病気です。
場合によっては足に麻痺が出てしまうこともあるため、痛がっている様子があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
また、一度椎間板ヘルニアから回復したとしても再発することもあります。
ダイエット食など日々の食事管理や適正体重の維持が、椎間板ヘルニアの予防につながることも覚えておきましょう。

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監修獣医師

高橋 宏実 獣医師・ペット栄養管理士

麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。

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