麻布大学 獣医学部 獣医学科卒業。東京都内の動物病院で臨床医として勤務。
その後、獣医師として栄養学をより深く学ぶことで、犬猫の健康を臨床医時代とは違う視点からもサポートできるのではと考え現在に至る。毎日欠かさず動物関係のSNSをみることで日々癒されている。
2025/04/25
夏に旬を迎えるオクラはネバネバした食感が特徴の野菜です。比較的育てるのが簡単で、黄色の花が咲き視覚的にも楽しめるため家庭菜園での人気もあります。
断面の星型をトッピングとして生かすことができ、食欲の落ちやすい夏でもさっぱり食べられるため、犬にも与えたいと考える方もいるのではないでしょうか?
一方で、次のような疑問を抱く方も多いでしょう。
結論から言うと、オクラは犬に与えても大丈夫な野菜です。
本記事では、犬にオクラを与えても大丈夫な理由から与え方、そして注意点までを分かりやすく解説します。
結論から言うと、オクラには犬の体によくない有毒成分は含まれていませんので安心して与えることができます。
ただし、与え過ぎは要注意です。オクラの約90%は水分でできていることから、水分補給を超えてたくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられるためです。あくまで適量であることが大切です。
そもそも栄養面において総合栄養食の良質なドッグフードを食べている場合は、栄養面で不足することはありません。食欲が落ちていて、とにかく何か食べさせたい時や水分を摂らせたいとき、または食べる楽しみ、与える楽しみとして、適量の範囲内で与えることが大切です。
総合栄養食については以下の記事に詳しくまとめているので参考にしてみてください。
オクラには、ビタミン類(βカロテン、葉酸、ビタミンK)や食物繊維、カリウム、カルシウムなど、犬の健康維持に役立つ栄養が含まれています。
期待できる代表的な効果には以下のようなことが挙げられます。
以下では、上記で示したオクラ100gあたりに含まれる代表的な栄養素と効果を紹介します。
食物繊維には2種類あります。水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
水溶性食物繊維は、血糖値の上昇をゆっくりにして、コレステロールを体外に出すのを助けます。不溶性食物繊維は、腸で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やして便通を良くします。
また、腸内の善玉菌のエサにもなり、腸内環境を整える働きがあります。
一方で、食物繊維の摂り過ぎは消化不良を起こし、かえって腸内環境が悪くなる可能性があるので注意が必要です。
カリウムにはナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、体液の浸透圧を調整したりといった働きがあります。この他にも心臓や神経、筋肉の動きにも関係しています。
カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占め、身体を支える骨格を強化する働きがあります。また、神経刺激の伝達・興奮、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液凝固など、身体のバランスを整えることにも役立っています。
カロテンは犬の体内で「目のビタミン」とも言われるビタミンAに変換され、目や皮膚の粘膜を健康に保つ他、白内障の予防など目の機能の健康維持に役立ちます。さらに、抗酸化作用もあるため皮膚や被毛を健康に保つ効果も期待できます。
葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関与しているとされ妊娠中の母犬などに特に役立ちます。また、貧血予防にも効果があります。
出血があった際に、血を止める凝固作用や骨の形成をサポートする役割があります。
※オクラ(ゆで)の可食部100g当たりの数値
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06033_7
私たちもよく食べるオクラの実には産毛が生えています。産毛を除去してから与えましょう。
生でも食べることは可能ですが、火を通したほうが消化に良いため、加熱することをおすすめします。
その際に、硬く消化に良くないヘタはカットした方が良いでしょう。
また、犬は食事をするときにあまり噛まず、そのまま飲み込んでしまい、喉に詰まらせる可能性もあるため、犬が消化しやすいよう、犬の大きさや食べ方に合わせて小さくカットしましょう。
100gあたりのカロリーがわずか25kcalのオクラとはいえ、与えすぎには注意しましょう。約90%が水分ですので、たくさん与えてしまうと下痢などお腹の調子を崩すことが考えられます。あくまで適量であることが大切です。
おやつで与える際は、一日の必要カロリーの10~20%分が許容量になりますが、オクラのカロリーが非常に低いため、そのままの計算では与える量がかなり多くなってしまいます。
栄養素の観点も含めて考え、「1~2cm程度に小さくカットしたものを1~2本程度にとどめる」ことを目安にしましょう。
オクラは、健康な犬には問題なく与えられる食品ですが、心臓や腎臓に持病を持っている犬やアレルギーの点からも注意が必要なケースがあります。
アレルギーは、体内の免疫機能がタンパク質に対して異常に反応することで起こるものです。
オクラには少量ですがタンパク質が含まれているので、極稀にアレルギーを引き起こす可能性があります。アレルギーを起こすと下痢、嘔吐、痒みを伴う症状などが多く見られます。
初めて犬にオクラを与えるときには、少量にしておき、ほかに新しい食べ物を与えないようにしましょう。こうすると、万が一アレルギーを起こしたときの重症化を抑え、その原因を特定しやすくなります。
オクラに含まれるリンやカリウムは、心臓、腎臓に持病のある犬には制限が必要な成分です。
特に療法食を食べている犬の場合には、オクラをあげる前に必ず獣医師に相談してからにしましょう。
Qオクラを子犬や老犬に与えても大丈夫でしょうか?
A通常、消化器官が十分に発達する生後2〜3か月ほど経った頃から与えることができます。 ただし、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後7~8か月までは消化機能が未発達なこともあるので、それまでは、食物繊維を豊富に含むオクラは与えないほうが良いでしょう。
老犬も同様に、消化器機能が弱っていることや喉に詰まらせるリスクがあることから与えないほうが無難です。
犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれるオクラ。ただし、いくら栄養価が高いからといってもオクラはあくまでおやつとして与えるようにしましょう。
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